Intel Core i7-12650Hを搭載したMinisforumの高性能ミニPC「NAB6」がコンパクトかつパワフルな上に静穏性が高い
これまで自宅のメインPCはインテルの「NUC6i7KYK」を使用していましたが、使い始めてからだいぶ経つので、新しいPCに買い替えることにしました。
買い替えるPCの候補はいくつかありましたが、最近、Youtuberの紹介動画などでよく見かけるMinisforumのミニPCが気になったので、ちょうど新しく発売されていたIntel Core i7-12650Hを搭載した「NAB6」を選択。
Minisforumの公式ストアから購入したせいか、自宅に届くまで1ヶ月以上かかりましたが、実際に使用してみると、待ったかいがあったと言えるレベルで意外と完成度の高い製品だったので、製品の内容や、これまで使っていたNUC6i7KYKとの比較などを紹介したいと思います。
目次
- Minisforum NAB6
- Windowsのインストール
- ベンチマークや静穏性のチェック
- Minisforum NAB6 と Intel NUC6i7KYK を比較
- 最後に
Minisforum NAB6
自宅に届くまでかなり時間がかかったので、不安でしたが、実際に届いた荷物はとくに異常なし。
内容物はPC本体、電源アダプタ、HDMIケーブル、SATA変換ケーブル、VESAマウント、取扱説明書といった感じでした。
PCのサイズは12.7cm × 12.75cm × 5.47cm と非常にコンパクト。重量は実測で565gと軽量ですが、ACアダプタと同じくらいの重さがあるので合せると1kgを超えます。
インターフェースは前面に、USB-C 3.2 (Gen1、Data Only) × 1、USB-A 3.2 (Gen2) × 2、3.5mmコンボジャック × 1。
背面に、USB-A 3.2 (Gen2) × 2、HDMI × 2、 USB-C 3.2 × 2、2.5Gギガビットイーサネットポート × 2といった構成で、USB-Cについては、片方がDP Onlyで、もう片方がPD Output、Alt DP and Dataに対応しています。
両サイドには通風孔があり、右側と背面の下側にファンの送風口が設けられています。
購入したNAB6はベアボーンだったので、メモリやSSDを自分で取り付ける必要がありますが、内部へのアクセスは簡単で、上の蓋を軽く押せば、簡単に蓋が開いて、そこから取付が可能となっています。
メモリの取付。(画像は16GB × 2(2,400MHz)ですが、ベンチマーク時は8GB × 2(3,200MHz)を使っています)
SSDの取付。
メモリはDDR4に対応。VenusシリーズとしてはNAB6以外にNPB7やNPB5といったモデルが存在しますが、そちらはDDR5にのみ対応しています。インターフェースも違っていたりして、NAB6の方がスペック的に劣っていますが、DDR5は安くなったとはいえ、まだまだDDR4よりも高く、価格に見合った性能の向上はなさそうなので、そこまで性能を気にしないのであればNAB6で十分だと思います。個人的にはNAB6の最大の利点はDDR4対応なところで、ベアボーンで購入したのも乗り換え前のPCのメモリを流用するためでした。
SSDについては、ADATA LEGEND 800の500GB(PCIe Gen4 x4)を新しく購入。取付位置が端で、嵌めこみにくかったので、ここは少しだけ慎重にやる必要があります。
今回は使いませんでしたが、上蓋には2.5インチのドライブも取付可能。
なお、ケース裏面の蓋も外すことが可能で、両面テープで貼り付けられたゴム足の下にネジがあります。
ネジを外して、裏蓋を開くと、以下のような感じで、ヒートパイプとファンが取り付けられているのが分かります。
一通り、外観や内部の様子を確認してみましたが、正直な感想として、意外と完成度が高いな、と思いました。
とくにワンタッチで上蓋を開いて、メモリやSSDにアクセスできるのは、非常によかったです。
Windowsのインストール
購入したのがベアボーンなのでメモリとSSDを取り付けた後、OSのインストールも自分で実施する必要があり、通常はとくに問題ないのですが、今回のNAB6の場合、搭載されているLANやWi-FIがWindows標準のドライバでは対応していなかったので、OSのインストール時にMicroSoftアカウントが必須となったWindows 11では、事前にドライバを読み込んでおく必要があります。
ドライバを読み込まずにOSのインストールを行うと、ネットワークに接続できず、右下の「次へ」ボタンがグレーのままで、OSのインストールを進めることができません。
ドライバを事前に読み込んでおくには、まず、Minisforumのサポートサイトにアクセスして、対応するドライバをダウンロードしたら、作成していたOSのインストールメディア(USBメモリ)に、解凍したファイルをフォルダごとコピーしておきます。
あとは、OSのインストール時に左下の「ドライバの読み込み」をクリックして、
コピーしておいたドライバを選択します。
最初はネットワークの一覧になにも表示されませんでしたが、ドライバを入れておけば、以下のように表示されるようになります。
なにげにWindows標準のドライバに対応していないのが初めてだったので、原因の調査などで時間がかかってしまいました。Minisforumの製品をベアボーンで購入する際は、注意が必要ですね。
ベンチマークや静穏性のチェック
OSのインストールが無事に終了したので、続いてはベンチマークの実施。
システムの概要は以下の通りです。
※メモリは8GB × 2、デュアルチャネルで駆動。
◆CrystalDiskMark 8.0.4
格安のM.2 SSD(ADATA LEGEND 800 500GB)でしたが、速度としては十分です。ちなみにCrystalDiskMark実行中のSSD温度は64℃でした。
◆Cinebench R23
シングル:1709、マルチ:10304
◆FF15 Benchmark(標準品質、フルHD、フルスクリーン)
スコア:1951(動作困難)
アイドル時やベンチマーク実行中の消費電力、温度、騒音は以下の通り。
- アイドル時の消費電力:14W
- アイドル時のCPU温度:44℃
- Cinebench R23実行中の消費電力:68W
- Cinebench R23実行中のCPU温度:75℃
- FF15 Benchmark実行中の消費電力:80W
- FF15 Benchmark実行中のCPU温度:81℃
- アイドル時の騒音:40dB
- 高負荷時の騒音:45dB
騒音については、アイドル時はほぼ無音で、高負荷時になると、ちょっとファンが回っているな、と感じるレベル。これまで使っていたNUC6i7KYKは高負荷時に50dB程度で、耳障りに感じるレベルだったので、それと比べたらかなりマシです。
ゲームについては内蔵のUHD Graphicsなので、あまり期待はできません。ある程度、ゲームもプレイしたいといった場合は、Ryzen系のCPUが搭載されたミニPCの方がいいです。
個人的な用途は、ちょっとしたアプリの開発や、ブログ記事の作成といったことなので、こちらのミニPCでもスペックとしては十分。なにより、稼働中のファン音が静かになったことが一番のよかった点です。
Minisforum NAB6 と Intel NUC6i7KYK を比較
「Minisforum NAB6」と「Intel NUC6i7KYK」のサイズを比較すると、容積的にはNUC6i7KYKの方が小さいですが、NAB6の方が形状的に設置しやすいです。
NUC6i7KYKのCinebench R23のスコアがシングル「758」、マルチ「3875」、FF15のスコアが同条件で「1185」なので、性能的にはCPUの処理能力で3倍、グラフィックスで2倍程度は向上しています。なお、消費電力はアイドル時と高負荷時どちらも同じくらいでした。
NAB6の静穏性は高く、ブログの記事を書いたり、Excelで資料を作成したりするくらいでは、アイドル時のほぼ無音と変わりません。NUC6i7KYKはちょっとした作業でも爆音でファンがうなり出していたので、それと比べると雲泥の差です。
NAB6に搭載されているIntel Core i7-12650Hは、高性能なPコアが6コア12スレッド、高効率なEコアが4コア4スレッドで、計10コア16スレッドとなるハイブリッドタイプのCPUで、個人的にこの手のCPUは初めてでしたが、今のところ、とくに気になる動作はなく、快適に使えています。
使い方にもよるかと思いますが、意外と高負荷な処理はずっとやっているわけではないので、高性能コアと高効率コアの切り替えがスムーズにいくなら、この手のCPUの方がよさそうです。
最後に
Minisforum NAB6の総評としては、星5つの評価でほぼ満点です。
完成度の高いコンパクトな筐体に、十分な性能のCPUとグラフィックス。インターフェースも豊富で最大で4画面出力可能なのは十分すぎるスペックです。それでいて静穏性も高いとあって、個人的には文句のつけようがありません。
...いえ、すいません。一つだけありました。
一点、問題をあげるとすれば、それは配送です。
冒頭でも書きましたが、今回、公式ストアでNAB6を注文しましたが、自宅に届いたのは発送されてから1ヶ月以上経った後でした(具体的には40日前後で自宅に到着)。NAB6は予約注文の段階で購入していたので、予約の期間を含めると、買ってから自宅に届くまで2ヶ月弱。
公式ストアで購入する場合、基本的に海外からの発送になるので、自宅に届くまで時間がかかります。とはいえ、普通は発送から2週間程度で到着するようですが、今回は遅れに遅れて1ヶ月以上かかり、調べるとそういった事例はちょくちょくあるようなので、急ぎで必要な場合は海外発送のものは避けた方がいいでしょう。
この記事にしても、本来であればゴールデンウィーク中にPCの移行作業をして、ブログの記事をアップする予定でしたが、ここまで遅れたのはすべて配送のせいです。
なので配送も含めると、星4つくらいの評価でしょうか。
AmazonでもメモリやSSD搭載済みの同じモデルが販売されていて、そちらは配送日が速かったりするので、配送を考慮した場合、公式ストアよりもそっちで購入した方がよさそうです。